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このblogは、アイシールドで出てくる戦略・用語を分かりやすく説明する事を目的とした感想blogです。火曜日23時頃更新予定(週によって前後あり)。本家サイトはhttp://fake.s22.xrea.com(プロフィール部分にリンク有)
 
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西部ワイルドガンマンズvs.泥門デビルバッツ、
泥門が後半最初の攻撃でTDを奪い、追撃体勢に入りました。

「クリタン」「よーにい」に続いては「ムサシャン」
さらりとあだ名を付ける事が出来る鈴音は、実は最強の存在なのかも。
でも、「ムサシャン」は呼びにくいよ(^^;

トライ・フォー・ポイントのキックは、これまでの
ヒル魔さんのキックと違って安心して見られると思っていたら……
ポールに当たってぎりぎり成功。
45ヤードのFGを決めていたのに、20ヤードのTFPが
こんな危なっかしいんじゃ、ヒル魔さんが怒るのも無理ないですよ。
しかし、武蔵を蹴っているコマでのヒル魔さんのはじけっぷり、
怒りながらも楽しそうですよ。
TFPが決まり29-16、これでTD2本で逆転する得点差となりました。

さらに泥門のキックオフという事で、ムサシが再び登場です。
ムサシさん、気合入っていますよ。
2本差という事で、モン太たちも気合入りまくっています。

しかし、2本差となるのは相手を0点に抑えた時、
もし相手にTDを奪われ続けると、絶対に追いつけなくなってしまいます。
西部が得点を奪えば、泥門への流れを断ち切る事が出来ますし、
泥門が西部の攻撃を抑える事が出来れば、
さらに流れが傾いていく事となります。
ですので後半最初の西部の攻撃は、
両チーム共に大事なドライブとなるのです。
(得点を奪ったり、攻撃権を失うまでの一連の攻撃をまとめて
 ドライブと言います。)

そしていよいよムサシのキックオフ初お披露目。
とんでもない音を響かせ、ボールは宙高く舞い上がっていきました。
ボールの行方にビックリしている西部の面々……
きっどん、最近こんな表情多いね。


ここでキックオフについての説明をもう1度
「116th down(14巻収録分)」からの転載+αです。

キック側(キッキングチーム)は、NFLでは自陣の30ヤード地点から、
日本では自陣の35ヤード地点からボールをキックします。
ボールをキャッチする側(レシービングチーム)は、
キャッチした後に前進する事が出来ます(リターンと言います)。
リターンはタックルされたり、フィールド外に出たりすると終了、
ボールを進めた地点から4回の攻撃がスタートする事となります。

キッキングチームは出来る限り遠くへ蹴り、
相手の攻撃開始地点を自陣のエンドゾーンから遠ざけようとします。
逆にレシービングチームは、キャッチ後なるべくボールを前に運び、
攻撃開始地点を出来るだけ前に持っていこうとします。
リターンで相手陣のエンドゾーンまで持っていくとTDとなるので、
リターンチームはそれも狙っています。

通常、自陣30ヤード地点まで
(自分の陣地の一番奥から30ヤード進んだ地点)
リターンできればまずまず、と言われていますから、
双方の陣地の真ん中、50ヤード地点であるハーフウェイライン
(作中では中央付近と言っています)までリターンできれば、
かなり素晴らしいリターンだと言えます。


ムサシのキックは高く舞い上がり、西部のキックリターナーの
井芹さんと陸君は後ろに下がりながらボールを追う事に……。

得点した側は、得点後にキックオフをする事で、
相手に攻撃権を渡す事になるのですが
ある条件を満たした時にはキックした側が
攻撃権を奪うことが出来ます。
それは、キックされたボールが10ヤード以上進んだ時点で、
キックした側にもボールを確保する権利が生じるというルール。
これを狙ってやるのが、前週書いた「オンサイドキック」です。
ちなみに、この10ヤードという規定がもし無かった時には、
ちょこんと蹴って自分でボールを取る事が出来るので、
試合にならなくなっちゃいますね。

今回のムサシのキックは、当然10ヤード以上飛んでいますので、
どちらのチームも攻撃権を得る事ができます。
本来キックオフリターナーは、ボールを後ろに逃さないよう
できる限り後方で待機するのですが、
これまでのキックオフがそれほど飛んでいなかった為か、
ムサシのキックが常識外に飛んでいたのか、
後方へボールを追う事となってしまったのです。

落ちてきたボールに井芹さん・陸君ともに触る事ができず、
ボールはフィールドを転がっていきます。
そのボールを追っていくセナ君と陸君ですが、
ここでは陸君がボールの確保に成功します。
しかし、陸君が確保した位置は自陣のゴールライン目前。
セーフティの危険がある、非常に厳しいポジションから
攻撃しなければならなくなり、
たまらず西部の監督さんはタイムアウトをコールしました。


ここでセーフティについての説明を、
「119th down(14巻収録分)」で書いたものの改訂版です。

セーフティはオフェンスをしている側が
相手に得点を与えてしまう事から、自殺点と表現される事もあります。

アメフトではボールを進めた場所までが
自分の陣地になると考えてください。
相手の陣地の一番奥までボールを持っていけば、
フィールド全てが自分の陣地になったという事になります。
これが「タッチダウン」で、オフェンス側に6点が入ります。

逆にディフェンス側が攻撃側を押し戻し、
エンドゾーン内まで押し込むと、ディフェンス側がフィールド全てを
自分の陣地とした事になります。
これが「セーフティ」で、ディフェンス側に2点が入ります。
実際には、ボールを持ったオフェンスの選手が
エンドゾーン内でタックルを受けた際にセーフティが発生します。

そしてセーフティによる得点が、
他の得点方法と全く異なる事が、得点後のキックオフ。
普通タッチダウンやフィールドゴールで得点が入った後は、
得点を入れた側がキックオフをして試合再開となるのですが、
セーフティの際には得点を入れられた側が
キックオフをして試合再開となります。
(このキックはフリーキックなので、
 ボールを置いて蹴っても、持って蹴ってもOKです。)
ディフェンスをしていた側とすれば、セーフティで得点を奪った上に、
次の攻撃権も回ってくるという、2度おいしいプレイになるのです。

通常、ゴールラインを背負うような厳しいポジションでは、
ボールを前に確実に進めるために、
前週泥門がやっていたブラストプレイを使うことが多いです。
2回の攻撃権を使ってある程度ボールを前進させ、
3rd downにパス攻撃で1st down獲得を狙い、
危険な地域を脱しようとするのがセオリーです。
もちろん、裏をかいてパスという選択も「あり」なのですが、
どぶろくさんの言うとおり、捕まったら即セーフティという事で、
選択するのは難しいと思います。

タイムアウトまで使って考えたものの、
西部の監督は結局セオリー通りのランプレイを選択しました。

キッドの問いに自信満々に答えるヒル魔さん、
そして3兄弟を見ていると、攻撃権は西部なのに
攻守が入れ替わっているような雰囲気を感じました。

そしていよいよプレイスタート。
西部は教科書どおりに中央のランプレイ。
通常ランプレイでは、RBの陸君がボールを持つのですが、
少しでも押し負けないよう、そして受け渡しまでの時間を
減らすために、前にいるブロック役のFB(45番)に
ボールを持たせてきました。

しかし泥門のディフェンスラインは、
西部のオフェンスラインを完全に圧倒。
オフェンスラインを押し切って、
ボールキャリアの45番を敵陣エンドゾーン内で潰しました。
これでセーフティが成立して泥門が2点を追加。
29-18となりました。

これで1点差、TD&2ポイントにFG1回で追いつく差になりましたよ。
西部のような攻撃陣が強いチームでは、このような厳しい
ポジションから攻撃を開始する事なんて無かったでしょうから、
西部の監督が冷静に判断できなかったのは無理もありません。
これまでにこのような状況で攻撃を開始している経験をしていれば、
また違った選択をしていたかも知れませんが……。
結果論になってしまうので、どちらを選択しても
後々まで悩む事になるんです。

これで泥門はさらに押せ押せになる事でしょう。
しかし、今回はフィールドポジションのおかげで、
西部を自滅へと導く事が出来ましたが、
西部の攻撃陣との1対1の勝負はいまだに勝機を見出せていません。
まだまだ試合の行方は分かりませんよ。
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