忍者ブログ
http://es21impre.blog.shinobi.jp/
このblogは、アイシールドで出てくる戦略・用語を分かりやすく説明する事を目的とした感想blogです。火曜日23時頃更新予定(週によって前後あり)。本家サイトはhttp://fake.s22.xrea.com(プロフィール部分にリンク有)
 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
如月の自爆覚悟の動きによって、ヒル魔さんは峨王に倒され
右腕を折られてしまいました。
倒されたヒル魔さんと如月は自ら起き上がる事が出来ず、
担架で運ばれるという厳しい状況。
栗田は激しく叫び、他のメンバーは自失という感じ。
これまでチームの頭脳を担当し、
リーダーとして引っ張っていたQBヒル魔の喪失は
チームとしての機能をも失わせかねません。

転がっているヒル魔さんのヘルメットがその絶望感を煽っていましたが、
ここでマルコが棄権するか否かという質問を投げかけてきました。
嫌らしいタイミング……さすがマルコという感じでしょうか。

セナ君はヒル魔さんの負傷を悔しがり涙を流していました。
セナ君の優しさ、そしてヒル魔さんへの尊敬の念が感じられる良い表情です。
ヒル魔さんを守れなかった栗田君は、
崩れたまま泣いていましたが、そこへヒル魔の蹴り一閃……
運ばれるヒル魔さんにかける十文字の台詞もカッコ良い、
分かっていた事ですがすっかりチームの一員という感じです。

泥門は代役QB選びを始めましたが、
夏彦さんは身体能力的には問題なくても頭脳の点で却下。
モン太はノーコンの時点で却下ですが、頭脳も……。
雪光さんは頭脳の点ではOKでも、身体能力&スタミナを考えると
これから1試合通じては難しい。
消去法で行くと石丸さんが浮かび上がるのですが、
これはヒル魔さんがまもりさんに渡し
破られた指示書にも書かれていたようです。
確かに、そこそこの運動センスはありそうですから
出来そうな気もしますが……助っ人だからルールの面で不安があるのか。
見かねてムサシがやろうとしましたが、
ここでセナ君が案を示し、その案で決まったようです。
その案とは……試合を諦めずにポジションについた泥門の選手たち。
QBの位置に居たのはセナ君でした。
確かにセナ君なら峨王のラッシュも素早さでかわす事が出来ます。
セナ君がパスを投げられるかは分かりませんが、
短いパスやQBドロー、そしてオプションなどを使えば
戦略の幅は狭まりますが何とか形は作れるはず。


先発QBが怪我で退いた後には2番手QBが登板しますが、
大抵の場合は先発QBほどの活躍が出来ず、
チーム状態は下向きになってしまいます。
しかしNFLでは、2番手QBが思わぬ力を発揮し
そのまま快進撃を続けるシンデレラストーリーがごく稀に見られます。
中でも1999年シーズン、STL(現ARI)のQBカート・ワーナーの物語、
そして2001年シーズン、NEのQBトム・ブレイディの物語は
シンデレラストーリーと呼ぶに相応しい奇跡的な物語です。
ワーナーは、スーパーで時給5ドルのアルバイトをしながら
アリーナフットボール、NFLヨーロッパで経験を積んでいました。
そんな下積みを経てようやっとNFLのチームと契約。
シーズン開始前に先発QBの負傷した為に出場のチャンスを掴むと、
なんとシーズンMVPの活躍でチームをスーパーボウルへ導き
そのまま一気に頂点まで登りつめました。
スーパーボウルを制覇した直後、これまで彼を支えていた
妻の元へと駆け寄り抱擁をかわしたシーンは
ドラマのクライマックスとしては最高のシーンでした。
ブレイディは、メンバー表にも辛うじて載っている状態から
シーズンインの頃には2番手まで昇格。
2試合目で先発QBが怪我した為に先発のチャンスを得ると、
その後11勝3敗という素晴らしい成績でプレーオフ進出。
プレーオフも劇的な戦いを続けて勝ち抜くと
STL(QBは上のワーナー)とのスーパーボウルでは
ブックメイカーが付けた14点差の不利を覆し
スーパーボウル制覇を達成してしまいました。

この2人のようなドラマを期待せざるを得ないセナ君のQBとしての登板。
まもりさんもセナ君の成長を喜んでいるようですし、
今回はセナを止める事はありませんでした。
そしてまもりさんからその事を聞かされたヒル魔さんの笑みは、
見初めた男の成長を喜んでいるように感じられました。

セナ君をQBに据え、背水の陣で臨む泥門。
戦況はより厳しくなっていますが、打開のきっかけとなるでしょうか。
PR
白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
白秋がヒル魔に放った刺客は如月でした。

今回のプレイはパスを中心に守るCBをQBへと突っ込ませるCBブリッツ。
メリットとしては……基本的にCBはQBから離れた位置に
セットしている事が多いので、オフェンス側としては
ブロックの割り当てが難しくなります。
遠くに居る突っ込んでくるかも分からない選手に
必ず1人を対応させるのは無駄になる可能性が大きいという事です。
しかしながら、レシーバーを守る選手が1人減ってしまう事や
そして遠い位置からのブリッツが多いために
QBの元まで届かない可能性がありますから、
CBブリッツはハイリスクハイリターンな戦術と言えます。

しかも今回突っ込んだ如月はモン太を相手にしていましたから、
相手のエースレシーバーを短い時間ですがフリーにするという
非常にギャンブル性の高い手に打って出たのです。
如月はヒル魔さんの腕を狙ってきましたが、
これはQBに対してブリッツを仕掛ける際の常套手段。
腕を叩けばパスのコントロールを乱せる可能性もありますし、
ボールをファンブルさせる可能性も生まれます。

しかしヒル魔さんはその如月の動きを読みきり、
後に下がりながらセナ君にアイコンタクトで合図を送りました。

アイコンタクトでプレイを変える事も実際にもたまに見られます。
良くあるのがWRの前のCBが距離を開けすぎていた時に、
QBとWRの2人以外はランプレイの動きをしているのに
2人だけがパスプレイをしているというプレイ。
予めランプレイだと決められていたとしても、
QBが独断でアイコンタクトを合図に
プレイ開始直後にパスを投げ込むのです。

しかしここで如月は方向転換、栗田君へと向かっていきました。
オフェンス側が良く行うトラップブロックのような形で
栗田君を真横から押して峨王の走路を作ろうとしたようです。
ここでは容易く如月君を弾き飛ばした栗田君でしたが、
如月君は自らの体をも犠牲にするつもりでした。
如月君によって栗田君に一瞬の隙が作られ
そこへ如月君ごと吹っ飛ばした峨王が突っ込んできました。
肉を切らせて骨を断つ、こんな動きはヒル魔さんでも
予想していなかったらしく、峨王のヒットをモロに喰らってしまいました。

峨王の一撃を喰らったヒル魔さんは激しい衝撃の影響か記憶が混濁、
倒された直後は痛みも感じていませんでしたが、
次第に感覚が戻り右腕がやられた事に気づいたヒル魔さんの表情が……。

怪我しながらもプレイを続けるアメフト選手も多いですが
現在進行形の事象では、ARIのQBワーナーが
左肘の靭帯を切りながらもギプスを巻いたままプレイを続けています。
他にも骨折したので腕をぐるぐる巻きにしたまま
プレイしているディフェンスの選手が何人か見られます。
ドクターやトレーナーが適切な処置を出来る
NFLならではの光景なのかもしれませんが、
怪我をしながらもパフォーマンスを落とさず活躍する選手も多く
プロ根性という単純な言葉では括れない凄さを感じます。

上で挙げたQBワーナーは、左腕が使えない影響で
ハンドオフ(ボールの手渡し)が上手く行えず、
左腕でボールを渡す右サイドのランプレイが
ほとんど使えない状況となっています。
(たまに無理やり右手で渡していますが)
しかし今回ヒル魔さんが折られたのは右腕……
パスを投げる大事な利き腕です。
ハンドオフについても制限されますが、
通常ならパスは投げる事すらままならない状態です。

ヒル魔さんだけでなく泥門のメンバー全員が絶望的な表情に。
フィールド上の司令塔でもあり
精神的な柱であるヒル魔さんを壊された泥門に
反撃する力を生み出す事が出来るでしょうか。
白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
マルコがセナ君からボールを奪い取ると
そのままエンドゾーンまで運び込みファンブルリターンTD。
これで16-7と白秋がリードを広げました。
ただでさえトライ・フォーで得点差が離される展開なのに
ここで1回攻撃権を飛ばされたのと同じになる
ターンオーバーを喰らってしまったのは痛すぎます。

マルコの思惑通りに強さを実感して呆然としているセナ君……
白秋の強さを表すためだけに出てきたSIC地区の
他校の生徒達ですが、激戦区ってキャラの濃さ激戦区か。
実際にはSIC(埼玉・茨城・千葉)の3県をあわせても
東京の半数ほどのチーム数しかないのですけどね。

リードを広げられた泥門はヒル魔さんが早速次の手を打ってきました。
雪光さんを投入し、セナ君もレシーバーとして使い
4人を一気にマルコの守備担当ゾーンに走りこませました。

王城戦の準備段階の時に、ゾーンディフェンスについて
分担場所を色分けして視覚的に説明していましたが
今の主流は10ヤード以上の距離の場所に
ディフェンスを2人だけ置く「カバー2」ディフェンス。
このカバー2ディフェンスの弱点は後ろ2人のど真ん中にある
シーム(縫い目)と呼ばれるゾーンの切れ目の部分です。
しかし力ずくでこの「カバー2」を破るのが
レシーバーをたくさん奥のゾーンに放り込む事。
後ろのカバーは2人しか居ないのですから、
アンダーニース(10ヤード以内)にいるディフェンス選手が
追いかけながら守備をしなければならなくなります。
そうなるとマークがしきれなくなるなど、
ディフェンスに綻びを生じさせる事が出来るのです。
もちろん欠点もあって、レシーバーが長い距離を走りますから
QBにある程度の時間を与えなければなりません。
もしラインがブロックをミスすれば、
QBはパスを投げる相手が見つけられずに投げ捨てざるを得なくなります。

4人を奥のゾーンに走りこませてヒル魔さんは-パスを……
と思ったら、自ら持って走っていました。
QBドローは説明に有る通り、パスのフリをしてQBがボールを持ち
そのまま走るプレイですが、ロングパスを投げるフリをする事によって
ディフェンスの選手の意識を後方へ持っていかせる事が出来るので
このような状況ではヒル魔さんの前はがら空きになり易くなります。
しかし今回はマルコがフィールドに居た為、
すぐさま前へと回りこまれてしまいました。
ヒル魔さんがわざと作った隙に乗じたマルコは
ボールを奪取しましたが……ヒル魔さんはボールを取られる前に
足をフィールド外に出してプレイを終了させていました。

「狡い」というのがバッチリ当てはまるヒル魔さんの動き、
試合に勝つために無駄な行動をしないというあたりが
ヒル魔さんらしい思考だと思いますね。

ここでヒル魔さんは、如月とマルコの脅威を減らす為に
プレイスタイルを変えてきました。
短い距離の前進を積み重ねるのは、105th downで触れた
ウェストコーストオフェンス(WCO)の形。
WCOでは、1つ1つのプレイは前進距離が小さい為に
リスクはとても小さくなります。
しかし「前進距離が少ない = プレイ数が多くなる」となるので
ミスを続けてしまうとすぐに破綻しかねません。
その代わり攻撃が続けられれば時間を大量に使うこととなりますし、
相手ディフェンスの疲労を溜めさせる事が出来ます。

ボールを奪われないようにする為に、
短い距離の積み重ねを始めた泥門オフェンス。
RBセナ君へのヒッチパスプレイ、
豊富なレシーバー陣を使ってのショートパスで、
徐々にですが確実に進んでいきます。

ここでマルコは泥門の雰囲気が戻った事を悟り、
次のプレイで仕掛けを打つことを決定。
仕掛ける相手は……ヒル魔さん。
ヒル魔さんに迫る人影は誰なのか。
白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
白秋の選手がヒル魔さんへと向かった事で
ヒル魔がセナ君にボールをパス。
泥門側が数的優位になった所で、
ボールを持ったセナ君が一気に前進を始めました。
数的優位になった事が良く分かるのが俯瞰の絵、
白秋の選手が2人持ち場を離れた為に
セナ君+ラインの1人がフリーになっているのが分かります。

こうなればセナ君がエンドゾーンまで独走出来るはず……
と思いきや、セナ君ビジョンの矢印が途中で断絶していました。
工事中の看板まで立っているし……

泥門がロンリーセンターをしている事で、
白秋は通常2人置けるセーフティが1人しか置けていません。
(今回は如月がモン太のマークについているので
 セーフティはマルコが担当)
マルコはセナ君を止めるのに如月君を頼ろうとしましたが、
その如月君はモン太をマーク中、
しかもブロックを受けちゃっていました。
結局マルコが、ポジションの名前の通り
最後の防波堤役としてセナ君の止めるべくやってきました。

セナ対マルコ、セナが抜けばTD確定のこの状況。
直前にセナ君にあっさり抜かれた堤下君とは違い
マルコはステップに惑わされる事無く、待ち構えていました。

ディフェンスの選手はボールキャリアと正対していないと、
急激な方向転換に対応できずにバランスを崩してしまいかねません。
そこで相手のあらゆる動きに対応する為に、
ボールを持つ選手と肩を平行に保って待ち構える事が求められます。
しかしボールキャリアも、様々な動きで相手のバランスを
崩しにかかりますから、実際にはこれが意外と難しいのですね。

でも、マルコさんは冷静に肩を平行に保ち続け
さらに視線の先はセナ君の走りには向いていませんでした。
そこへモン太のブロックを振り切った如月が登場するも、
セナ君は如月の突っ込みをデビルスタンガンでいなします。
残りはマルコ1人となりましたが、セナ君の覚えていた違和感は
最後に待ち構えていたマルコによるものでした。
マルコの圧力に不安感を覚えながらも、
セナ君はデビルバットハリケーンでマルコを抜きにかかります。
マルコはあっさり抜かれたかのように見えましたが……
セナ君とすれ違う際にボールを奪い取っていました。

今回マルコが使ったテクニックはストリッピング。
204th downの感想で名前だけは出していましたが、
どんなテクニックか説明します。
「ストリップ(strip) = 覆いを取る、剥ぐ」
という訳からも分かりますが、相手の持つボールを剥ぎ取る事です。
隙間などに手を差し込み、手を引きながらボールを手放させます。
このストリッピングはボールを狙いますから、
下手をすると相手を止める事すらまったく出来ない事もあります。
ですので右手で体を抑えながら、左手でストリッピングをするなど
相手を止めながら同時に行っているのが見られます。
あとボールキャリアに複数選手が群がった時には、
体を抑える選手、ストリッピングやパンチングをする選手と
役割を分担している場合も有ります。
あと偶発的に、ブロッカーに倒されてしまった選手が、
倒されながらもボールキャリアに手を伸ばした結果
ストリッピングになってしまう事もあります。
思わぬ所から手が伸びてくると、
選手も対応しきれずにボールを剥ぎ取られてしまうのですよ。

マルコは腕の力に回転力まで加え、
セナ君からボールを剥ぎ取っていたのです。
そしてマルコはそのままエンドゾーンまで一気にリターン、
16-7と泥門が逆転どころか点差を広げられてしまいました。

止めるのではなく奪い取る……
止めるだけなら攻撃権は変わりませんが、
奪われてしまうとその場で攻撃権がチェンジしますから
攻撃側のダメージはかなりの物となります。

ディフェンスで力を見せ付けたマルコですが、
まだオフェンスでの力が未知数なのですよね。
まだまだ白秋の底は見えないです。
白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
モン太を止める為に白秋は如月ヒロミをぶつけてきました。
マルコと如月君のやり取りから、如月君のポジションが判明。
基本的にはセーフティでプレイしているようですが、
このプレイではコーナーバックに回ったようです。
代わりにマルコがセーフティに回ったのかな?

泥門2回目の攻撃がいよいよスタート。
この攻撃でもいきなりモン太へのロングパスを狙ってきました。
如月に不気味な感覚を覚えていたモン太でしたが、
一休、桜庭との戦いで鍛えられ切れを増したカットバックで
如月を置き去りにし、見事にボールをキャッチ……
しかしここで如月の手が伸びてきてボールを叩かれてしまいました。
如月は腕をモン太の腕に絡めてきましたが、
その腕を利用してボールを挟み込む力を低下させた上で
ボールを叩いてキャッチを防いだようです。

力というのはその力が加わる方向に対して
垂直な力には影響を与えられないので、
両手で挟み込むという1方向にしか力が加わらない状態では、
その挟み込む方向と垂直な力に対してはとても弱くなります。
逆に抱え込むようにボールを持ってしまえば、
垂直な方向が限られますからボールの安定感が増します。
ですからキャッチ直後の挟み込んでいる所で、
抱え込まれないようしながら垂直に力を与えるのは
理に適ったボールの弾き方といえます。


パスキャッチの成立条件は216th downでも書きましたが
・レシーバーがボールを確保
・レシーバーの体の一部がフィールドに付く
以上の2つの条件が必要となります。
今回のプレイでは確保をしていた時点では
体の一部がフィールドについてはおらず、
また体がフィールドに触れた時には
既にボールの確保は失われていましたからパス失敗となります。

如月君の芸術的なパスディフェンス「プテラクロー」で
パス失敗となった泥門。
続いての攻撃では、モン太が如月の存在を
気にしてしまっていました。
そこでヒル魔さんがパスを投げあぐねていると見た
白秋のディフェンスはヒル魔さんに向かって突っ込みましたが……
この動きはヒル魔さんの思う壺、
ロンリーセンターのもう1つの狙いがここで出てきました。

ロンリーセンターはオフェンスにとって危険度が高いプレイですが、
ディフェンスも意外と守りにくい隊形なのです。
その理由は253th downでも書きましたが、
人数的なバランスが崩れる可能性があるからです。

繰り返しになりますが、通常のプレイでは
オフェンスライン5人+QBの計6人に対して
ディフェンスは4人でプレッシャーを与えます。
この事によって、ライン戦以外の部分で
ディフェンスは2人の数的優位に立てるのです。
しかしこのディフェンスの数的優位を持ってしても、
オフェンス側が多少有利な状況になっています。
ロンリーセンターに対して1人しかラッシュ出来ないのは
数的な状況がすでにディフェンス不利となっているからです。

では今回のように峨王に加えて2人がラッシュしてしまうと……
オフェンスはセンター+QBの2人に対し、
ディフェンス側のラッシュは3人ですから
この時点でオフェンス側が数的有利となります。
今回のように真横のパスが決まった場合には、
オフェンスの選手ぶブロックが完璧に決まれば
ボールを持った選手はフリーな状態となります。

泥門がロンリーセンターを使った狙いの1つはこれでして、
2人がラッシュしてきたのを見たヒル魔さんは、
すかさずセナ君へとボールを投げ渡しました。
数的優位な状況でボールを受けたセナ君。
どこまでボールを前進させる事が出来るか?
白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
泥門はロンリーセンターの奇策からモン太へのロングパスをヒット。
キャッチしたモン太は、セナ君の好ブロックも有り
エンドゾーンまでそのまま走りこみ先制TD。
ムサシのキックも決まって0-7となりました。

この後、素直に栗田君を称えるセナとモン太をよそに
小結と3兄弟が……仲が良いんだか悪いんだか。
で、栗田君に潰されるのはお約束。

しかし峨王が「俺の敵とはなりえん理由がある」と
この後言い放ちましたが……攻守が入れ替わった
続いての白秋の攻撃で今度は峨王がその力を見せ付けます。
オフェンスで出てきた峨王は露払い役として大きな走路を確保。
これで白秋のランプレイは少しずつ確実に進み続け、
どんどんとファーストダウンを更新していきます。
白秋は力押しのランプレイだけでどんどんと進軍。
ヒル魔さんの言う「ノースサウスゲーム」をまさに体現しています。

ランプレイだけで進む「ノースサウスゲーム」は、
ブラスト(143rd downを参照)のように
リスクが低いプレイだけで前進する理想的な攻撃スタイル。
例えば、ブラストを使って4ヤードずつボールを進められれば
3回の攻撃で1st down更新出来ます。
これが1ヤード余計に進み、5ヤードずつボールを進められれば
2回の攻撃で1st downを更新できてしまいます。
ランプレイですからボールを失う可能性も低くなりますし、
もしランプレイを止めようとディフェンスが中央に人を割けば、
フィールド両端付近に居るレシーバーへパスを通せば
これまた安全に前進出来てしまいます。
つまりオフェンスが完璧に仕事をこなせば、
ディフェンスとしては為す術が無くなってしまいます。

通常ならランだけで進むとなると、ディフェンスに的を絞られ
段々と進む距離が短くなってしまうものなのですが、
白秋には圧倒的な力を有する峨王が居ますから、
止まらないのも仕方ないのかも。
栗田君もヒル魔さんの盾となって守るオフェンス時と違い、
ディフェンスではボールキャリア(ボールを持つ人)に
迫らなければならないのですが、
力の差もあり峨王に完全にコントロールされている状態です。

この戦術が何故「ノースサウスゲーム」と言われるかというと、
南北戦争になぞらえてという説や、
フィールド事態の日当たりを確保する為に
「南北」に進むように作られているので
そう呼ばれているという説を聞いた事があります。
どちらの説も真実味が有りますが、本当の所は分かっていません。


ここで白秋の如月君と峨王との出会いエピソードが挿入。
力が無い如月君だからこそ、力を持つ峨王に憧れた……
やや屈折している部分もありますが、
自らの持っていない物に憧れるのは分からないでもないです。

白秋は結局エンドゾーンまでランプレイのみで押し切ると、
さらにはトライ・フォー・ポイント(TFP)でも
ごり押しのランプレイで2ポイントを奪取してしまいました。

TFPで2ポイントを狙うのは峨王のパワーあってこそ実現する戦略。
本来は定石から外れています。
TFPのキックの成功率は98%前後なので
1ポイントでの期待値は大体0.98点と考える事が出来ます。
2ポイントの成功率は、敵陣2ヤード地点からスタートする
NFLでも40%程度ですから、期待値は約0.80点となります。
NFL以外では敵陣3ヤード地点からスタートですので
成功率はもうちょっと落ちるかもしれません。
この事から、通常はキックでの1点を狙うのが定石となります。
期待値ベースで考えれば、2ポイントの成功率が50%を超えると
キックを選択するよりもメリットがあるように思えますが……
2ポイントを1回失敗すると、その次で2ポイントを成功して
キック2回成功した時との差がプラスマイナス0となります。
もし2回連続で失敗すれば、2回連続で2ポイントが成功しないと
取り戻せなくなってしまいます。
ですから2ポイントの成功率がある一定以上にならない限り
2ポイントを選択するメリットが無いのですね。

しかしそんな確率論を無視してしまう峨王のパワー……恐るべし。
このままだと泥門は、TDごとに1点ずつ引き離されてしまいます。
しかも後半は白秋の攻撃でスタートですから、
さらに点差を広げられてしまう可能性も。

ここで泥門に出来るのは得点を取り続ける事。
その為に攻撃時にTDを取り続けなければならないのですが、
モン太の前に如月が登場。
白秋の左腕といわれる如月君がどんなプレイを見せてくれるのか。
白秋ダイナソーズvs.泥門デビルバッツ
まず攻撃権を持った泥門がいきなり仕掛けてきました。
本来は5人で形成するはずのオフェンスラインが栗田君1人で、
他のメンバーは離れてセットする
ロンリーセンターを使ってきました。
これなら栗田君以外の選手が峨王に壊される事も無いですし、
1対1の対決に引き込む事が出来ます。
峨王も大喜びのようですが……
ヒル魔さんもこんな時によく茶々入れられるな。

ロンリーセンターとは、名前の通りQBの前にいるラインが
センター1人だけになるフォーメーション。
NFLでもめったに見る事が出来ない
スペシャルなフォーメーションです。

オフェンス側には、スクリメージライン(説明 194th down)上に
7人以上居なければならないというルールがあります。
この7人のうち、両端の2人以外は無資格レシーバー、
つまりパスキャッチが出来ない選手になっており、
この5人がオフェンスラインを形成する選手となるわけです。
しかしこのロンリーセンターでは、スクリメージに並ぶ選手で
ボール付近に居るのはセンターの栗田君だけ。
スクリメージラインにセットする他の選手は、
栗田君から離れてはいますが条件を満たすように
フォーメーションを組んでいます。


いよいよロンリーセンターを使ったプレイがスタート。
互いに激しくぶつかり合いましたが、
峨王はそのパワーを生かして栗田君を撥ね退けました。
そのままヒル魔さんに迫ろうとしましたが、
踏ん張った栗田君が再び立ちはだかりました。
何度も跳ね飛ばされてもすぐに立ち向かう……
昔の弱気な栗田君だったら、最初に跳ね飛ばされただけで
すぐに諦めていたかもしれません。
ボクシングの特訓でバランスも鍛えられ、
さらには番場さんの特訓によって精神面の成長があったからこそ、
ここまで食い下がれたのかも。

時間をもらえたヒル魔さんは、お得意のピンポイントパスを投げ込むと、
モン太がそれをがっちりキャッチ、
そして着地地点ではセナ君がブロックと
主役勢揃いでTDへと繋げました。


ロンリーセンターの利点について改めて書いてみます。
このロンリーセンターの利点は、めったに使われないプレイなので、
相手チームを慌てさせる事が出来ます。
これでタイムアウトを使わせる事が出来ればしめたものですし、
そのままプレイを始める事となれば、
守備側はマークする選手やカバーするゾーンを確認しきれず、
混乱をきたしてしまう可能性があります。

欠点は当然、スクリメージラインに並ぶライン扱いの選手の
役割がほとんど無い事。(全く無い訳ではない)
そして見た目通りQBを守る選手が1人しか居ない事です。
ラインがある程度の時間ブロックできないと、
QBはパスを投げる事が出来ません。
もちろんそのような状況の為に、
短いパスを通す為のターゲットも居るのですが。

2人以上でQBに襲い掛かれば良いのではないか?
という素朴な疑問も湧くかもしれませんが、
この事について考えてみます。
通常では、オフェンスライン5人+QBの6人に対し
ディフェンスラインは4人でプレッシャーをかけます。
この時、ライン戦以外の選手の数では
守備側が2人多くなっています。
このような状態でも実は攻撃側の方が多少有利なので、
的確なルートランニングと完璧なパスがあれば、
プレイは成功してしまいます。
では、ロンリーセンター相手に2人で突っ込んだらどうなるか?
ボール付近は2人対2人となるので、他の部分では人数的に互角。
そうなると他のラインの後方に位置するRBへパスが通った時に
ディフェンスの人数が1人しか余らなくなり、
完璧にブロックが決まれば1人をかわすだけで
大きく前進できてしまう事となります。
(WRスクリーンと呼ばれる、真横に居るレシーバーへの
 スクリーンパスに似た形となります)
ですから、ロンリーセンター相手に2人以上でラッシュを仕掛けると、
潰せれば勝ち、潰せなければビッグゲインの可能性高しという感じの
バクチと同じような状態になってしまいます。

今回のような時間がかかるパスプレイだったとしても、
他の守備選手がそのようなプレイだと確認してから
QBの所へ駆けつけようとしても間に合わない事もあります。
5秒もかかるとさすがに他の選手も寄ってきそうですが……
峨王が1対1を望んでいたから、
他の選手が寄らなかったと考えれば無い事も無いかな。


泥門が幸先よく先制点をゲット。
しかしまだ試合は始まったばかり、
白秋もこのままでは終わらないでしょうけど……
次に得点するのはどちらになるでしょうか?
番場さんに鍛えてもらった栗田君が、
凛々しい顔になってチームに合流……と思いきや、
1人での特訓が寂しかったようで泣きながら駆け寄ってきました。
番場さんは精神面を鍛えたと言っていますが、
本当に変わったのか心配になるなぁ。
でもヒル魔さんにプレッシャーを賭けられても、
強気な言葉が出るあたりに進歩が感じられました。

ここで峨王が登場。
栗田君との戦いを楽しみにしていた峨王は
雰囲気が変わった事をすかさず察知したようです。
しかしこの後、栗田君を愚弄するような発言をした天狗先輩が
峨王にやられてしまう事に……。
峨王って意外と紳士でして、相手選手を尊敬しているからこそ
プレイで全く手を抜かないです。
結果的にその力で相手を壊してしまう事となるのですが。
そして太陽戦直後の室や、今回の天狗先輩のように
戦っている者を嘲るような行動をする相手には怒りを露わにする。
行動に移しちゃうのはちょっと拙いかもしれないけど、
この勝負に対しての心構えはプレイヤーとしては一流と言えるでしょう。
天狗先輩が出られなくなった事で、マルコが両面出場?
これで攻守ともにヒル魔さんとマルコによって
フィールド上で頭脳対決が繰り広げられる事となるのか。

決戦のフィールドは東京ドーム……
でも東京ドームってアメフトには向かない場所なんだよな。
人工芝だからセナ君のようなスピード派の選手にとっては
少し有利に働くのですが、TDパスをコーナーパターンで狙うと
フェンスが目前まで来るのでとても怖いですよ。
(ルート表は5巻を参考に)

天狗先輩の非礼をわびる為にマルコが泥門ベンチに来ましたが、
3兄弟が至極まともな反応を……
たくさんの花を贈ってきたあいてだから、そりゃ信用も出来ないよな。
この後のマルコとヒル魔さんのやり取りは
どこまで本気で取って良いのか分からないけど、
試合前から目に見えない駆け引きが行われているような感じで、
緊張感が高まってまいりました。

「触れられないスピードには力は通用しない」を体現するセナ君に対し、
「触れてしまえば力でねじ伏せてしまう」を体現する峨王。
2人は対の存在に見えますが、どちらも真理ですね。

そして協会会長の言葉が今回も熱すぎ。
「ここで負ければ初戦敗退と何も変わりはしない」
……痺れたぁ。こういう言葉、大好きです。


そしていよいよ試合開始。
泥門がいきなり仕掛けてきたようですよ。
まずは栗田君vs峨王に注目です。
クリスマスボウル出場を賭けた関東大会決勝へ向け、
栗田君はボクシングジムで番場さんも経験した特訓をする事に。
番場さん気合入りすぎだ……。

表紙のベンチプレスランキング、
メインのキャラはこれまでに出てきた数字ですから
目新しさはないのですが、如月30kgってひ弱すぎだろう。
どこのポジションをやるんだろう?
それよりもケルベロスの数字がおかしすぎる。

栗田君以外の泥門のメンバー達も、
決戦に向けてトレーニングに励んでいるようです。
トレーニング中にしてきたリコちゃんのインタビューに対し、
セナ&モン太の応答は顔はシリアスなのに言っている事が……
2人らしいって言えばらしいのですけど。
そのトレーニング途中に見かけた月刊アメフトの表紙に
峨王の顔がでかでかと、そりゃあれだけの素材なら
大学側も放ってはおかないはずです。

その峨王はチームメイトとともに温泉に。
峨王は栗田のビデオを見て、強敵である事を再認識。
マルコさんも嫌がっているという事は、
白秋側は栗田さんの存在は気になっているのかな?
峨王が栗田さんを、マルコがヒル魔さんを意識しているようで、
この試合ではこの2人の踏ん張りが鍵になりそう。

セナ&モン太にビデオを渡しに来た陸君の言葉は至極当然。
潰すという表現は「怪我させる事」を想起するかもしれませんが、
QBサックや、投げると同時に激しいタックルを浴びせれば
相手のQBを恐怖感で萎縮させる事が出来、
戦略の幅を狭めさせる事が出来ますから、
QBに激しく当たりに行くのはディフェンスとしては当然の心構え。
セナやモン太は戦いを重ねてきてはいますが、
マルコや峨王、そしてヒル魔さんのように
非情な位に勝負に徹するまでには至っていない感じですね。

ヒル魔さんが用意したいざという時の為の指示書を
すぐさま破り去るまもりさん。
1人でも欠けたらチームが崩壊する泥門において、
まもりさんの怪我してほしくないという気持ちが表れた良いシーン。
その行動を見ていた皆が気合を入れ直していたのも良いなぁ。

いよいよ訪れた決勝の日、
栗田君も少しだけ凛々しくなって会場にやってきました。
白秋との関東大会最終決戦、クリスマスボウル行きの
チケットを手にするのはどちらのチームになるのか?
 
#最新トラックバック
#プロフィール
HN : あんぴ
性別 : 男性
趣味 : NFL観戦
#ブログ内検索
#カウンター
#アクセス解析
#フリーエリア
 
忍者ブログ | [PR]
"あんぴ" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.