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このblogは、アイシールドで出てくる戦略・用語を分かりやすく説明する事を目的とした感想blogです。火曜日23時頃更新予定(週によって前後あり)。本家サイトはhttp://fake.s22.xrea.com(プロフィール部分にリンク有)
 
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王城ホワイトナイツvs.茶土ストロングゴーレム
スピアタックルとグースステップとが融合した
トライデントタックルが岩重君にヒット。
激しい衝撃を受けた岩重君はボールをファンブルしてしまいました。
進さんは浮いたボールをそのままキャッチするとリターンを開始、
そのままエンドゾーンまでボールを運び込んでしまいました。
進さんのファンブルリカバーリターンTDで王城が先制、
さすが守備の王城という感じです。

今回進さんは、激しいタックルでボールを奪いました。
このようにボールを奪うプレイは、
ディフェンスにとっては最大のビッグプレイです。
本来は相手オフェンスの前進を止める事が仕事ですが、
ディフェンスの選手達は、あわよくばボールを奪ってやろうと
虎視眈々とチャンスを窺っています。
最近では特に、持っているボールに対してのアタックに関して
意識が高くなっているように思えます。
例えば、タックルすると同時にボールを直接手で叩き
ファンブルを狙う「パンチング」。
ボールキャリアが持っているボールに手をかけ、
剥ぎ取るようにしてボールを奪おうとする「ストリッピング」などなど
タックルだけでなくプラスアルファの動きをして
ボールを手から落とさせるファンブルを狙っています。

ボールをファンブルさせれば攻撃権を奪取するチャンスが生まれます。
攻撃権を奪うターンオーバーは、ディフェンスのビッグプレイ。
相手の得点機会を奪って自分達の得点機会に変える事となります。
しかしリターンが大きい代わりにリスクもあります。
西部戦で陸君がセナ君のボールを狙ったが為に、
デビルバットハリケーンで抜かれてしまったシーンがありました。
確実にタックルで止めておけばTDは防げたのでしょうけど、
ボールを狙ってしまったが故にTDに結び付けられてしまいました。
このような事も良くある事です。
ですのでディフェンスの選手は、状況に応じた的確なタックルを
瞬時に判断して繰り出す事が求められるのです。


岩重君、地区大会で当たり負けしなかったとの事ですが……
現実と同じだったら静岡には3校しかなく、
総当たりで2試合だけですから、
そこまでの選手がいなかったのでしょうね。
それとも進さんが別次元なだけなのか?

相手選手の力量をきちんと評価できるからこそ、
自分に足りない部分も認識でき、その対策をする事が出来る。
これだけの力を持っていながら、相手の良い点を受け入れられる
柔軟さも持ち合わせているのですから、本当に手が付けられません。
トライデントタックルの凄まじさを目の当たりにした陸君は、
かなりの衝撃を受けている模様。
そしてセナ君も、進さんの凄さを改めて認識したのですが、
直後にいつもの謙虚モードが発動しちゃっています。
でも夏彦さんの言う通り、そんな心持じゃいかんよ。
進さんのような強敵に勝つには、強い心を持っていないと
勝負にすらならないよ……って、ここまで来たセナ君なら
そんな気持ちは当然持っているとは思いますけど。

再び茶土ストロングゴーレムの攻撃、
またしても岩重君は中央突破を試みましたが、
今度は大田原さんが見せてくれました。
パワーの差をスピードで埋めるべく走力を鍛えてきたようです。
岩重君のランが完全に潰された為、あとは王城の独壇場。
王城ホワイトナイツが危なげなく準決勝進出を決めました。
これで準決勝のもう1つの組み合わせは
泥門デビルバッツvs.王城ホワイトナイツに決まりました。

オフェンスNo.1チーム泥門に対するは、
ディフェンスNo.1チームの王城……
最強の矛に最強の盾がぶつかる勝負はまさに因縁の対決。
セナ君もようやく進さんとの再戦が叶いました。
熱い戦いが期待できそうです。
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関東大会第1回戦第3試合、
西部ワイルドガンマンズvs.岬ウルブス
スピードが自慢の狼谷君でしたが、
陸君のロデオドライブにあっさり抜かれてしまいました。
結局試合は西部が圧勝、準決勝1つ目の組み合わせは
白秋ダイナソーズvs.西部ワイルドガンマンズに決まりました。

この後雷が鳴ったために次の試合開始が見合わされ、
時間がずらされナイトゲームに変更となりました。

豪雨でも雪でも低温(-15℃以下の試合もありました)でも、
アメフトの試合は中止になったり中断したりする事は有りません。
しかし、数少ない例外がこの雷。
屋外でやるスポーツなので雷が直撃する可能性が有るため、
雷が落ちる可能性が高くなると試合が中断する事が有ります。


雷が鳴る競技場で陸君のロデオドライブを
厳しい表情で見つめていた進さん。
この後西部のロッカーまで訪ねていき、
陸君からロデオドライブの走法を聞き出そうとしていました。

チェンジ・オブ・ペースの方法としては、
セナ君が使っているような、ステップの間隔を狭めて
方向転換をするクロスオーバーステップが一般的です。
しかし陸君が使っているグースステップも、
チェンジ・オブ・ペース走法の一種。
膝を伸ばしたまま上半身の振りで加減速をし、
スピードの緩急をつけて相手のタックルをかわします。

たった1回敗れただけのセナ君を倒すために、
グースステップについて聞き出しにきた進さん。
足りない部分を補うために、相手が敵チームの選手だったとしても
自分より優れている部分について教えを請う……
このような事が自然に出来る人はなかなかいませんよ。

絶対的な強さを手に入れようとする進さんを見て、
結局陸君は自分の技術の核を教えました。
一流の選手は最高のレベルで戦う為に、
惜しげも無く技術を教える事があります。
陸君も一流の選手だからこそ、進化した進さんが見たいと思い、
グースステップの事を教えたのかも。

陸君は進さんにアドバイスをした後、セナ君の元へ行き、
進さんにアドバイスした事を伝えましたが……
セナ君も力強く「勝ちたい」と宣言。
セナ君も最高レベルで戦いたいと思う戦士なんだな、と思い
ちょっぴり嬉しくなりましたよ。
でも直後にセナ君らしさが出るのはお約束でしたね。

夜になり、ナイトゲームに移された第4試合、
王城ホワイトナイツvs.茶土ストロングゴーレムが開始。
猪突猛進ランナーという触れ込みどおり、
中央突破の力押しのランプレイをしてきた岩重君。
茶土の岩重君は、アイシー初のパワータイプのRBですよ。

RBには、セナ君のような小柄な体で、デイライトと呼ばれる
選手の隙間を駆け抜けていくタイプと、
岩重君のように体格とパワーを利用して、
相手のタックルを受けながらも前進を図るタイプがいます。
短い距離を確実に進みたいときには、
後者のタイプのRBがいるとかなり重宝します。
実際、状況によってRBを使い分けるのは定石ですから。


その岩重君、大田原さんを弾き飛ばしましたが……これは罠、
進さんのトライデントタックルの為でした。
岩重君に一気に迫った進さんの手は、
岩重君の持つボールを弾き飛ばしていました。
タックル直前の加速でタックル自体の威力も増してそう……
最後のピースを得てついに完成した進さんの最終兵器。
進さんとセナ君との戦いが楽しみになって来ましたよ。
泥門vs.神龍寺戦に続いて始まった
太陽スフィンクスvs.白秋ダイナソーズでしたが……
チーム名が体を表すがごとく、圧倒的なパワーを持つ峨王力哉が
太陽のピラミッドラインを蹂躙。
要の番場さんまでタンカで運ばれ退場、
ラインの選手がいなくなった為に太陽は棄権を選択。
ラインがいなければ試合になりませんから仕方有りません。

太陽のライン陣は自分の身を犠牲にしてまで、
QBである原尾さんを守り抜きましたが、
その心意気に峨王も敬意を払ったようです。
番場さんが運ばれていく姿を見て
原尾さんは涙を流していましたが……
自分を守るためにと考えたら涙も出ちゃいますよ。
太陽の選手達の信頼関係の厚さが感じられました。


アメフトはコンタクトスポーツなので、
試合中で怪我人が出てしまうのは仕方の無い事です。
中には試合中の怪我によって、選手生命を絶たれるだけでなく
その後の生活に後遺症が残る位の怪我を負う事もあります。
それでも選手達は勝利という至上の喜びに向け、
自らを鍛えて戦いに臨んでいくのです。
戦っている選手達だけでなく、
観客達もそのような努力は知っています。
だからこそ、怪我人が退場していくときには
退場していく選手が再びフィールドに戻ってこられるようにと
選手達は敵味方関係なく、ファン達も贔屓かどうかは別にして
祈りを捧げ、拍手を送るのです。


しかしそんなフィールド内の選手の気持ちを考えない発言が……
モン太がカチンと来るのは当然でしょ。
フィールドにいた峨王もその言葉を聞き、
発信者を突き止めるべく観客席に殴りこみに。
思考はまっとうなんだけど行動が突飛すぎだよ。
ヒル魔さんはスタンガン(×4)、
ハァハァ3兄弟はバットを取り出しましたが、
それ使っちゃ駄目というか、持ってきちゃダメでしょ。

陸君が峨王の実力を測るべく、嘘ついて名乗り出たのですが、
峨王は真犯人でないことを見破ります。
フィールドで戦う者同士だからこそ感じる事があったのかも。
プレイは破壊的ですが、意外と峨王も紳士的?

因縁が有った後に行われた第3試合は、
西部ワイルドガンマンズvs.岬ウルブス。
狼谷君がかなり強気な事を言っていましたが、西部が岬を圧倒……
これは仕方ないですよね、岬は北海道代表だし。
151st downで書きましたが、関東大会の出場枠が偏っているのは
出場校に差が有るからなのですが、
そうなると実力の方も少し落ちる場合が出てきます。
現実では北海道には2校(枠は0.5、作中の枠は1)、
静岡も3校(枠は作中も現実も1)ですから
関東大会出場校とはいえ実力差が大きいのは仕方ないです。

西部が準決勝に進出し、白秋ダイナソーズと対戦が決定。
これは面白い試合になりそうです。
泥門が勝って大金持ちになったどぶろくさんですが、
男の服についてはセンス無さ過ぎ、
でも女性陣の服は……良いなぁ。
でも典型的な破滅する人間のタイプですね。
浪費したり、借金を返さずに次の賭けに突っ込んだり。

続いての試合は太陽スフィンクスvs.白秋ダイナソーズ
峨王を見た太陽の選手達が
ロッカーに戻ってしきり直していました。
峨王を直接見たら、話で聞いていたとしてもビビっちゃうよな……。

峨王はマウスピースを噛み砕いたり、
今までの試合で相手のQBを怪我に追い込むほど
激しいタックルをお見舞いしたりしているようです。

NFLでは、QBはルールでかなり守られていまして、
ディフェンスは投げ終わったQBのヘルメットに触れる位でも
反則を取られてしまいます。
(キッカーもQBと同様にルールでかなり保護されています。)
先発QBが怪我でいなくなってしまうと、
試合の質が落ちてしまいかねないからです。
学生レベルだと、同レベルの選手がいる場合も有りますが、
それでもエースQBが潰されるのはかなりの痛手になります。

太陽のエースQB原尾さん、
自分の実力が他の選手に追いついていないのでは?と
悩んでいたようですが……ちゃんと番場さんは
原尾さんの努力を見ていました。
原尾さんも悩むだけで終わっていなかったのは立派です。

いよいよ試合開始、
太陽スフィンクスはスプリットを極端に狭めた隊形
「ツタンカーメンマスク」でQB原尾さんを守りに来ました。


左右にTEを2人入れ、7人をスクリメージに並べると
下のようになります。
  
 TE T G C G T TE

CとGの間をAギャップ、GとTの間をBギャップ、
さらにその外側はCギャップ、Dギャップと名付けられています。

ランプレイの時には、RBがどのギャップを走るのかは
予め決められています。(一部例外あり)
しかしディフェンスの方も、誰がどのギャップを埋めるのか
事前にハンドサインなどで伝え合っていますので、
ディフェンスの対応によっては予定していたギャップを
走れなくなる事も有ります。
そのような場合にはRBは少しスピードを落とし、
開いている別のギャップを探したり、
ブロックによって隙間が開くのを待ったりします。

しかしここで使われているツタンカーメンマスクでは、
スプリットが狭いためギャップがそもそも閉じている状態ですので、
オフェンスにとってもディフェンスにとっても、
ギャップを通過する事は難しくなります。
ですから、ディフェンスラインがオフェンスラインを突破し
QBに迫るという事がかなり難しくなってしまいます。
CBがレシーバーを長時間マークし続けるのはほとんど不可能ですので、
QBがパスを投げるまでの時間を稼げれば稼げる程、
オフェンスの方がどんどんと有利になっていきます。
このフォーメーションを使うと、QBまでの最短距離である
中央を固める事が出来るので、時間を稼ぎやすくなるのです。

しかし、スプリットが狭いので守れる範囲が狭まり、
大外から入ってくる選手をブロックし難いという欠点も有ります。
何よりランプレイがオープン(ラインの外側を走るプレイ)以外
やりにくくなってしまうので、ほぼパスプレイであると
相手に丸分かりになってしまいます。

原尾さんを守るためのツタンカーメンマスク……でしたが、
峨王の圧倒的なパワーに要の番場さんが崩されてしまいました。
太陽は白秋の圧倒的なパワーに対抗する術を持っているのか?
原尾さんのあのエピソードを見てしまっただけに、
頑張ってほしいとは思うのですが。
泥門デビルバッツvs.神龍寺ナーガ
長かった試合もついに決着。
ラストプレイのトライ・フィー・ポイントで
ギャンブルに出て2ポイントを狙った泥門。
栗田君が神龍寺の壁を突き崩してセナ君の道を開き、
セナ君をそのままエンドゾーンへと導きました。

セナ君の胴上げに続いては栗田君の胴上げ……
しかし全員が潰されました。
でも栗田君を胴上げした瞬間の、
みんなの嬉しそうな表情がたまらないですね。
台詞が無いのに、表情だけで嬉しさが伝わってきます。
あ、どぶろく先生も賭けに勝った事を思い出し、
違った意味で喜んじゃっていました。


かたや神龍寺側では、思いがけない結果に沈黙。
それは阿含も同じだったのですが、
これまでを振り返った後すぐに立ち上がり、
前を見て歩き始めました。
この状況でも後ろを振り返らない阿含の描写に、
強い信念を感じ取る事が出来ました。

阿含が立ち上がりながら発した言葉。
これを聞いた時の雲水の嬉しそうな顔が印象に残りました。
阿含と一緒に同じ目標に向けて頑張れる事が嬉しかった、
雲水に関する描写からは、僕はそのように感じ取りました。
しかし山伏先輩は阿含とはもう一緒にプレイ出来ない……
限られた時間しか出来ない学生スポーツが持つ
哀愁が感じられる印象深いシーンでした。
巨深ポセイドンもそうでしたが、
次世代に託す先輩の姿は、涙を誘いますね。


再び泥門側、セナ君とモン太がヒル魔さんを
胴上げしようとしたのですが……
ここでのヒル魔さんの言葉は真理です。
まだ優勝したのでは無いのですから喜び過ぎちゃいけません。

NFLでは、勝利したチームがヘッドコーチに対して
選手がお祝いの意味を込めてスポーツドリンクをかける
「ゲータレードシャワー」という慣例(?)が有ります。
しかし、スーパーボウルに進出を決めた試合で
「ゲータレードシャワー」をしたチームが、
本番で敗れるという呪いが発動する事が
ここ最近多かったのです。
(今年はその呪いは外れたのですけど、
 その前の年は呪いが発動してイーグルスが餌食に……)
だから優勝するまで喜びすぎてはいけないのですよ。
でも、関東大会進出の時はかなり喜んでいましたけどね。

次の試合は王城ホワイトナイツの可能性もあります。
王城にはセナ君のライバル、
努力し続ける天才LB進清十郎がいます。
セナ君も進さんの言葉を聞いて、気を引き締め直したようです。


続いての第2試合の準備が進んでいますが、
第2試合は太陽スフィンクスvs.白秋ダイナソーズ。
傷だらけの番場さんの姿から、かなりの練習を
積んできた事が容易にうかがい知る事が出来ます。

しかし白秋には、とんでもない化け物がいました。
恐竜の名に相応しいサイズとパワーを持つ
ラインマン峨王力哉が登場。
見た感じはパワープレイヤーですが、
どんなプレイを見せてくれるのか、楽しみです。
泥門デビルバッツvs.神龍寺ナーガ
残り時間が0となったプレイでタッチダウンを奪い取り
34-35の1点差まで迫った泥門デビルバッツ。
トライ・フォー・ポイントで確実に1点を追加し
延長戦での勝負に賭けるのか。
それとも2点を狙って一気に逆転を狙うのか。

そのトライ・フォー・ポイント……
プレースキックのフォーメーションだったのですが、
ヒル魔さんがボールを引っ込め一か八かの2ポイントを敢行。
ムサシをブロッカー役にし、ヒル魔さんがボールを持って
ど真ん中へと突っ込んで行きました。
栗田君・ムサシ・ヒル魔さん、デビルバッツを作った3人が
神龍寺のラインのど真ん中に突っ込む形となりました。

192nd downでプレースキック(フィールドゴール)について
書きましたが、通常はボールが置かれている位置から
7~8ヤード下がった所にボールをセットして、キックをします。
キッカーはボールを置く場所から、さらに3~4ヤード
後ろから走り出しますので、ムサシは10ヤードほど走った
勢いをつけて栗田君の後ろにぶつかって行った事になります。
しかしムサシの勢いも神龍寺のラインには通じず、
がっちり受け止められてしまいました。

ヒル魔さんが悔しがるような台詞を吐いたと思ったら……
泥門の策は二段構えになっていました。
セナ君が持ち場を離れてヒル魔さんの後方から
ジャンプで突っ込み、そこへヒル魔さんがボールを投げ渡す。
博打も博打、とんでもないギャンブルプレイを出してきました。

トライ・フォー・ポイントのような敵陣エンドゾーン間近の
短い距離を残した場合のプレイでは、
相手のタックルをものともしないような体格の良いRBを使い、
中央部に無理やり突っ込ませる事が良く有ります。
しかし泥門にはセナ君・石丸さんとそれほど体格が良くない、
隙間を抜けていくタイプのRBしかいません。
そこで中央突破のために「天空デビルバットダイブ」、
無茶なプレイ選択すぎますが、泥門の戦力を考えると
こういう無茶なプレイをしなければならないのも理解できます。

空中でボールを掴みにいったセナ君ですが、
ボールを掴み損ね弾いてしまいました。
その弾かれたボールに阿含・一休の2人が素早く反応します。
相手のライン陣との違いを示し、勝ちを確信した阿含でしたが
その直後に側面から衝撃を受けました。
素早い反応によってぶれた重心……
その隙を見逃さずパワーだけしかない栗田君が、
4人をまとめて押し込もうとしていました。


現代のNFLでは、ディフェンスラインはもちろん
オフェンスラインの選手にもスピードが要求されます。
でも栗田君のポジションであるセンターは、
QBにボールを渡すポジションなので、
他のラインの選手よりわずかに動き出しが遅くなる為、
大きく動き回りにくいポジションでは有ります。

しかしNFLで活躍する一流のセンターになると、
本編66th・67th downでも出てきたスイーププレイなどで
ボールをQBに渡す動きをした後に
RBのリードブロッカー役になる事もあるのです。
(NASA戦では、黒木・戸叶の2人だけがリードブロックに参加)

神龍寺が栗田君を取らなかったのも、
この様な流れを考えれば当然だったかもしれません。
パワーだけのライン選手よりも、パワーは少し落ちても
スピードも兼ね備えたライン選手がいた方が
戦略の幅が広がりますから。
しかし、パワーしか無い栗田君でも活躍できる場所がある……
それを一番知っていたのは、一緒にデビルバッツを作った
ヒル魔さん・ムサシの2人でした。
その2人の言葉を受けた栗田君は、
神龍寺の壁役の4人をまとめて押し倒しました。

栗田君の頑張りで阿含・一休が消えた為、
セナ君は浮いたボールをキャッチする事に成功。
そのままエンドゾーン内へと落ちていきました。

2ポイントコンバージョンが成功して得点は36-35、
泥門デビルバッツがラストプレイのギャンブルに成功し、
大逆転勝利を掴み取りました。
5年間、関東無敵だった神龍寺がついに陥落しました。
クリスマスボウルへ向けて3人だけ頑張っていた
栗田君・ムサシ・ヒル魔さん。
その3人の夢をバカにされた事に対し怒ったセナ君が
3人の、そしてチームメイトの想いが詰まったボールを受け取る。
最後に選択するプレイとして相応しいプレイだったと思います。
泥門デビルバッツvs.神龍寺ナーガ
残り4秒からのラストプレイ、泥門はダイレクトスナップから、
セナ→ヒル魔さんへのパスというスペシャルプレイを敢行。
ヒル魔さんが追いすがる阿含を振りきり
エンドゾーンへとダイビング。
タッチダウンをもぎ取り1点差にまでこぎつけました。

観客席も盛り上がっていますが、
黒木&戸叶が水町君よろしく服脱いじゃっています。
確かに嬉しいのは分かるけど、服脱ぐと反則取られかねないよ。
(アンスポーツマンライクコンダクトで15ヤード罰退の可能性が)
その後、3兄弟が揃ってヒル魔さんに蹴りを入れに……
写真をネタに脅されていたとは思えない位、
すっかり仲間って感じになっています。

しかしヒル魔さんは次のプレイの事を考えていました。
続いてのトライ・フォー・ポイントですが……
本来であればキックで1点を追加し、延長戦へ持ち込むはずです。


確か日本の高校アメフトでも、
昨年か今年から延長戦が導入されたんですが、
NFLとその他では、延長って方式が違うんです。

NFLだと「サドンデス」、先に得点を取った方が勝ちです。
先に攻撃権を持った方が有利、という意見もあるのですが、
議題には上がるもののルール改正までは至らず、
議論が続いている状態です。

NFL以外のカレッジフットボール(大学)などでは
互いが必ず1回ずつボールを持って攻撃をし、
得点に差が付いたときに勝敗を決する、
という方式が採用されています。

日本のアメフトでは、カレッジフットをベースに
ルールが作られているとの事なので、
日本の高校アメフトはカレッジフットと同じになるはず。
しかしアイシールドではNFLルールがベースになっているので、
もし延長になったとしたらどちらの方式になるんでしょうか?
個人的にはNFL方式の方が決着も早いですし
スリリングな展開も多くなるので好きなのですけど。


しかし186th downでも書きましたが、
人数ぎりぎりな上にセナ君を酷使してしまった泥門にとって、
延長戦へ持ち込む事は大きな不利に繋がります。

ここで神龍寺がFGで3点を加点した事によって得られた、
メリットを挙げてみたいと思います。

1つ目は、泥門を3回のTDが必要な状況に追い込んだ事。
これは克服されてしまいました。
しかし阿含の言う通りにしてTDを狙いに行き、
もし失敗していたとしたら……
この時点で逆転されていた所でした。

2つ目は、もし3回のTDを決められても、
トライ・フォー・ポイントを全て決められても同点止まり。
神龍寺側はきちんと選手を入れ替えているので、
延長に持ち込まれてもスタミナの面で有利になります。

さらに神龍寺は相手の2ポイント成功率を
0%に抑えているとの情報がリコちゃんからもたらされました。
神龍寺にとっては、3回目のTDの後に一か八かで
2ポイントを狙われても、それを抑えきれば勝ちが確定。
キックで1点を加点されて延長に持ち込まれても、
スタミナの面で優位……この事からも、FGでのあの3点が
かなりの重みを持っていた事が理解できると思います。


神龍寺はトライ・フォー・ポイントでの2ポイントに対し、
無類の強さを発揮しているとの事ですが……
実際、今までの泥門の得点シーンを思い出してみても、
(1) 雪光さんへのロングパスによるTD
(2) 十文字君のファンブルリカバーTD
(3) モン太へのロングパスによるTD
(4) セナ君のファンブルリカバーTD
(5) セナ→ヒル魔のスペシャルプレイでTD
このように、遠くから一気にTDを奪ってはいますけど、
ゴール前(敵陣5ヤード以内)まで地道に進んでから
TDを奪った事はありません。


193rd downで「プリベントディフェンス」の説明の際にも
書きましたが、エンドゾーンまでの距離が短くなると、
使えるフィールドが狭くなるので、
ディフェンス側に有利に働きます。
さらに阿含・一休など身体能力が高い選手がいますから、
ゴール前で無敵の強さを誇るのも理解できます。

あのときの3点が、泥門の選べる2つの道を
ともに茨の道へと変貌させた……
そんな中でも決断を下さねばなりません。

「どっち選ぼうがほぼ勝ち目0%」というヒル魔の言葉に対し
十文字・黒木・戸叶の3人は2ポイントを選択。
しかし栗田君は、弱気モードが発動してしまったようです。
その栗田君の言葉に対して、泥門のみんなが止めるシーンが
良かったなぁ……セナ君なんて「クリスマスボウルまで」
って言葉を使ってまで止めに入るんですもん。
3人の夢を知っているからこそ、最後まで一緒に戦いたい。
そんな気持ちがこちらまで伝わってきます。
栗田君も良い後輩に恵まれたよなぁ。

ムサシから栗田君への言葉「心に保険かけているだけだ」、
これを一番噛み締めていたのは雪光さんでした……。
そしてその後の雪光さんの言葉から、
チームの総意は2ポイントへと一気に傾いていきます。
それを見たヒル魔さんが心なしか嬉しそうな表情を
しているのは気のせいかな。
最後に聞かれたのは、エースであるセナ君。
ここでのセナ君の決断は……。

そして運命のトライ・フォー・ポイント。
泥門のフォーメーションは、通常のキッキング隊形。
センターの栗田君を中心に9人がブロッカー役となり、
ヒル魔さんがボールをセットして、ムサシがボールを蹴ります。

このキッキングプレイでも、モーションの説明の時に書いた
「オフェンス側全員の1秒完全静止」をしなければなりません。
しかしボールがセットされてから、キッカーが蹴る動作を
スタートさせるのでは、突っ込んできたディフェンスに
ブロックされる可能性が高まってしまいます。
という事でキッキングプレイの際には、
ボールが動かされてプレイが始まった後、
キッカーはタイミングを見計らって動き出し、
ボールがセットされた直後に蹴るようになっています。
この一連の動きが美しいのですよ。
中でも難しいのは、ボールを立てるホルダー(ヒル魔さん担当)。
ボールにある縫い目が蹴る足に当たると、
それだけでも方向が微妙にズレてしまう可能性が有るので、
ボールの縫い目が足に当たらないように
ボールをセットしなければならないのです。

しかしこの隊形だと、キックをフェイクにして、
2ポイントを狙う際には、ムサシの分だけレシーバーが
減ってしまうので、キックで1点を取っての延長狙いなのかも。
そうだとしたら、セナ君は自分を省みずに
延長突入を提示したのか?
それはそれで熱いのですが……阿含の言う通り
素直にキックというのも考えにくい状況です。
泥門の決断はどちらなのでしょうか?
泥門デビルバッツvs.神龍寺ナーガ
モン太が掴み取ったラストプレイの権利、
泥門はそのラストプレイに最後の望みを託します。

前回の感想でも書きましたが、
通常では攻撃の際に観客を盛り上げる事はありません。
プレイ開始時に使う「Hut」の掛け声が伝わりにくくなり、
ミスが発生する可能性が高まるからです。
しかしヒル魔さんは、さらに観客を煽り続けています。
観客席もそれに応えてさらに盛り上がっていますが……
照れて恥ずかしがりながらも声を出す筧君が、
可愛いすぎなんですけど。

この声援を受けたセナ君は、一瞬ビビったものの
落ち着きを取り戻し、締まった表情に。
これだけの状況できちんと集中できるのですから、
セナ君の精神面での成長がうかがい知る事が出来ます。

阿含の方は、再びヒル魔の行動を怪しんでいますが……
一休など他の選手達は、この大歓声に飲まれてはいませんでした。
さすがに神龍寺、この程度の事で
心を乱されるチームではないようです。

神龍寺が崩れなかったにも関わらず、
ヒル魔さんはさらに煽り続けていましたが……
ここで何と栗田君がスナップしてプレイを開始。
ヒル魔さんの盛り上げのための動きがモーション扱いで、
セナ君に直接ボールを渡す「ダイレクトスナップ」という
スペシャルプレイを使ってきました。

QBの動きをモーションとしてプレイを始めるという事は、
モーションの説明をした194th downでも
印象に残るプレイとして紹介した事があります。
通常はQBがボールを受け取るところからプレイが始まるので、
ディフェンスの虚を突ける可能性があり、
大きな前進が望めるプレイなのです。

今回のプレイについては、2ページ目の最初のコマで
ヒル魔さんが煽っているシーンが描かれていますが、
ここでヒル魔さんは立ち止まっています。
この立ち止まっている描写によって、
オフェンスがプレイ前にしなければならない
1秒全員静止の条件を満たしている事となります。
ですので、この後のヒル魔さんの動きは
モーションとして扱われる事になりますので、
いつでもプレイが出来るような状態になります。

そこで栗田君は、観客を煽っているヒル魔さんを無視し、
直接セナ君にロングスナップでボールを渡しました。
この緊張の場面で、きちんとセナ君にボールを投げる事が出来る
栗田君も、良い仕事をしています。
このような緊張する場面では、ボールを投げ損ねて
プレイが崩れてしまうという事もあるのですから。

ボールを受け取ったセナ君は、
そのまま左サイドへと駆け上がっていきます。
しかし、さすがの神龍寺ディフェンスは
このスペシャルプレイにもきちんと反応。
セナ君を3人で取り囲みました。
万事休すかと思われたその瞬間、
セナ君は急ブレーキをかけ、ボールを投げ込みました。
モン太・夏彦さん・雪光と、3人のレシーバーには
きちんとマークが付いていたのですが、
ターゲットとなったのは……ヒル魔さんでした。


178th downで書いたのですが、QBに対してマークする
ディフェンスの選手というのは通常は存在しません。
この事について改めて説明し直します。

オフェンスライン5人に対して
ディフェンス側はラインの4人で対応します。
さらにQBにマークを付けない事によって
さらに1人余る事となります。
ディフェンスはこの2人の数的優位を使って、
セーフティという最後の砦となるポジションに、
人を配する事が出来るのです。

では、なぜQBにマークをつけないのでしょうか?
ランプレイの時は、QBはRBにボールを渡した時点で
そのプレイについてはお役御免となります。
ですからディフェンスは、QBを見る必要がなくなります。
パスプレイの時は、ディフェンスラインの4人が
オフェンスラインを掻い潜ってQBに迫ろうとします。
ですからディフェンスラインが、QBをマークするような
形になりますので、わざわざQBにマークを割く必要がありません。
という事で、QBと1対1でマッチアップする選手は
ディフェンス側にはいない事となります。

とは言いましても、もちろん例外があります。
今NFLで最も速いQBであるマイケル・ヴィックは
40ヤード走4秒4という脚を持っている為、
RB並みのランが出来る選手なのです。
このような「走れるQB」を抑える為に、
ディフェンスは「スパイ」と呼ばれる
QBのみをマークする選手を配す事があります。

これはあくまでも例外中の例外、
ヒル魔さんは「動けるQB」ではありますが、
「走れるQB」ではありませんので、
ディフェンスがわざわざ「スパイ」を置く必要はありません。

しかもこのプレイはランプレイでありますが、
ボールはヒル魔さん経由でなく、直接セナ君に渡っています。
ですからヒル魔さんは、通常のランプレイでは
ボールを手渡した所でやる事が無くなるはずなのですが、
このプレイでは最初からボールに絡んでいないので、
パスターゲットのレシーバーとして動く事も可能。
さらにマークが付いていない上に、
神龍寺の選手が鍛えられているからこそ
セナ君に素早く反応してしまい、
ヒル魔さんがワイドオープン(がら空き)に……。
この場面でこれしかないという最高のスペシャルプレイでした。


しかしボールをキャッチしたヒル魔さんに対し、
阿含が素早く反応して追いすがります。
阿含の知っている40ヤード走5秒2のヒル魔が相手なら
追いつけたはずです。
しかし、たった0.1秒を伸ばすために
ヒル魔さんは不断の努力で鍛え続けており、
フィールドの上にいるヒル魔さんは、
阿含の知っている「過去のヒル魔」ではありませんでした。
「過去のヒル魔」まで届いていた阿含の手も、
「現在のヒル魔」までには僅かに届かず……
ヒル魔さんは阿含を振り切るとそのままエンドゾーンへと倒れこみ、
最後の最後で望みを繋ぐTDを奪い取りました。

NFLでも、ドラフト1巡で指名され
将来を期待されていた選手が
泣かず飛ばずという例が良く有ります。
逆にドラフトでは下位指名でも、努力を重ね続け
NFLを代表する選手にまで育った選手もいます。
才能はもちろん大事ですけど、
それに胡坐をかいて努力を怠ると
下から来る者達に追い抜かれてしまう……
確かに阿含は天才だったかもしれません。
しかし練習をしていなかったのですから、
その能力を100%生かせていたとは言えないと思います。
そこにヒル魔さんが突けた「隙」が生まれたのでしょう。


セナ君がボールを投げ、ヒル魔さんがキャッチをする。
本職とは違ったプレイをするスペシャルプレイを
この場面で提案したヒル魔さんの度胸の良さは凄いの一言です。
ヒル魔さんのセナ君への信頼感の厚さ・強さも感じられました。
そしてヒル魔さんの策に応えるセナ君や他のメンバー達……
泥門の信頼感の強さが感じられるプレイ選択でした。

そして、最後の最後で神龍寺の熟練度の高さが
仇となってしまったのかも。
ランプレイと思えば、セーフティも含めて
全員で止めに行くのは基本中の基本です。
ましてやボールを持ったのがセナ君なのですから、
レシーバーをマークしていないセーフティなどが
止めに行ってしまうのは当然の事です。
そこでセナ君のランがパスに派生するだなんて
さすがに予想できないでしょう。


ラストプレイでもぎ取ったTDで34-35の1点差、
あとはトライ・フォー・ポイント……
通常ならキックで確実に1点を追加し、
延長戦へと持ち込むのがセオリーです。
しかし、セナ君の脚の状態を考えると、
ここで決着させないとまずいのかも。
運命のトライ・フォー・ポイントは
1ポイントか、2ポイントか?
成功するのか、失敗してしまうのか。
泥門デビルバッツvs.神龍寺ナーガ
スパイクフェイクからのモン太へのロングパスが成功。
勝利へ望みが繋がるか……という所で
奇襲に気づいていた阿含が、時計を止めないように
きっちりサイドラインの内側にモン太を倒してボールデッド。
そのまま時間は流れ、フィールドでの時計は
残り時間0となってしまいました。

セットに向かう途中で時計が0となり
崩れ落ちる泥門の選手達……
そこへ阿含は容赦ない言葉を投げつけます。
長年の夢への最後のチャンスだった栗田君とヒル魔さん。
栗田君は夢が破れた事から悔し涙を流し、
ヒル魔さんは静かに敗北を受け入れようとしていました。

奇跡は起きなかった……誰もがそう思っていた所に
審判が時計を戻すよう指示してきました。
審判の指した先には、サイドラインの白線部分に
えぐり取られたような跡が……
その跡はモン太が起こした奇跡でした。

モン太は完全にフィールド内で倒されていました。
しかし左手一本を伸ばしてフィールド外に触れ、
アウト・オブ・バウンズ(フィールド外)に出ていたのです。
このドライブ開始時(193rd down)のヒル魔さんの言葉
「ブッ潰される前に死んでも外に出ろ!」を
モン太はこの場面できちんと実行していたのです。


アウト・オブ・バウンズとなる条件は、
「選手が外周の白線から外側の部分に触れる」事です。
ボールを持った選手がフィールド外に出た場合は、
その時点でボールデッド(プレイ終了)となります。
しかし、ボールデッドになったからといって
必ずしも時計が止まるわけではありません。

ボールを持った選手が押し戻されて
プレイが終了した場合には、ボールが一番進んだ所まで
前進が認められる事となっています。
(フォワードプログレスと言います)
もし、タックルで押し戻されながらフィールド外に出た時、
ボールが一番進んでいた地点がフィールド内だった場合には、
その一番進んだ場所まで前進が認められる代わりに、
フィールド外に出たにもかかわらず時計は止まりません。

また、西部戦での鉄馬とモン太のボールの奪い合いを
思い出して頂きたいと思います。
あの場面では、両者がボールを持ったまま
鉄馬の体が地面に付きました。
この体が地面に付いた瞬間にボールデッドとなったので、
その後にモン太がボールをむしり取っても、
プレイ終了後の事なので意味が無くなってしまったのです。
ですので、ボールデッドの後にフィールド外へ出ても、
先に起きたボールデッドの時点でプレイが終了しているので、
フィールド外へ出た行為は何の意味も為さず
時計が止まる事がないのです。

という事で、フィールド外へ出て時計が止まるのは
「フィールド外に出た場所が、ボールが一番進んでいた場所」
という条件を満たす時になるのです。
今回のモン太の場合、前へと飛びながら
サイドラインの草をむしり取っています。
もし体の他の部分よりも先に、むしりとった場所の
草に触っていればその時点でプレイが終了となり、
フィールド外に出た場所=ボールが一番進んだ場所
という関係が成り立ちます。
ですから、この場合は時計が止まるのです。


モン太が右手を開くと、そこには白線の混じった
フィールドの一部が握られていました。
九死に一生を得た泥門デビルバッツ、
チームメイトみんながモン太を手荒く祝福しました。
そして観客もモン太のミラクルプレイに盛り上がります。

しかしあと20ヤードを残して時間は4秒を残すのみ……
1プレイには4~6秒ほどかかるので、
次のプレイが正真正銘のラストプレイとなります。
7点差を跳ね返すためにはTDを奪うのが必須条件。
高見さん&ショーグンの言うとおり、
まだまだ厳しい状況に変わりはありません。

しかしヒル魔さんは、この厳しい状況で
皆の顔色を変える位のとんでもない作戦を提案したようです。
しかも観客を使うという事で、
ヒル魔さんは観客を大いに煽り始めました。
これは通常ではありえない事です。


アメリカ4大スポーツの中でも、バスケとアメフトは
ホームチームの優位性が大きいスポーツです。
なぜなら、どちらも相手の攻撃時に、
声を使って選手の邪魔をする事が可能だからです。

モーションの説明(193th down)の時にも書きましたが、
アメフトでは、オフェンスは全員静止した状態から
プレイを始めなくてはなりません。
そこで全員にプレイ開始を伝えるの役目を
果たしているのが「Hut」のコールなのです。
この「Hut」コールが聞こえにくいと、
プレイが始まる前に選手が動いてしまう
「フォルススタート」の反則を犯し易くなるのです。

ですからお客さんは、ホームチームの攻撃の時には極力静かに、
相手チームの攻撃の時には騒げるだけ騒いで、
12人目の選手としてホームチームが
有利になるように協力するのです。
日本では時を選ばずに鳴り物の応援が有るので、
まだこのような状況には至ってはいませんが……
いずれそのような状況になれば、
もっと各地でアメフトが盛り上がるかもしれませんね。


勝ったと思い、一度は気持ちを緩めた神龍寺。
試合が終わったと思った後に
気持ちを引き締めなおすのは至難の業です。
泥門の方もそれは同じ状況のはずですが、
ヒル魔さんの奇策が緊張感を和らげたのかもしれません。
神龍寺ディフェンスは、選手達が固くなっていましたが、
その緊張に気づいた雲水の言葉も届かない位
泥門への応援の声が球場内に響き渡ります。
見開き2ページを使ったセナ君と観客席の描写、
皆が応援してくれている、という感じが出ていますね。
しかしヒル魔さんはさらに盛り上げようとしています。

最後の1プレイ……観客を使うというヒル魔さんの策とは?
そしてこのプレイを成功させて、
同点・逆転への望みを繋ぐ事が出来るのか?
泥門デビルバッツvs.神龍寺ナーガ
一世一代の大博打、スパイクフェイクからの
モン太へのロングパスを試みました。

助走をつけたモン太が一休を置き去りにして、
一足早く捕球態勢に入りました。
しかし一休も懸命に追いすがります。

CBは「パスを決めさせない」事が仕事です。
しかし毎回パスを不成功にする事は不可能です。
ですのでパスを決められた場合には、
「それ以上進まれないように、きちんとタックルして止める」
事が必要となります。

実はこの2つの見極めのバランスが難しいのです。
パスがカットできると思って動いたのに、
パスを通してしまった場合には、
素早くタックルの体勢に移れずに
キャッチ後に大きな前進を許してしまう事となります。

ですので、CBはある段階で「パスをカットする」から
「キャッチ後に確実にタックルで仕留める」事に
意識を移す事が重要になります。
しかしNFLで先発するクラスになると、
一休のようにパスカットにこだわってしまう事もよく見られます。
中にはパスカットが出来るときも有りますが、
パスカットに失敗して大きな前進を許してしまう事も多いです。

ヒル魔さんのパスは、モン太に確実に通るパスではなく、
一休にカットを狙わせつつも触れさせないようなパスでした。
モン太と一休では、一休の方が足が速いですから
普通にキャッチさせて前進を狙っても追いつかれてしまいます。
という事で高見さんの言う通り、パスカットを誘って
一休の体勢を崩させ、一発ロングゲインを狙う……
ヒル魔さんならではの頭脳的なパスでした。

ヒル魔さんの意図通り、一休をパスカットに向かわせる事に
成功したのですが、一休は懸命に手を伸ばして
ボールに触れてパスの軌道を変えてしまいました。
No.1CBの誇りを見せてくれるような鬼気迫るプレイでしたが……
一休の凄さを一番理解していたモン太は
パスカットによってボールの軌道が変わるであろう事を予測し、
予めずれた軌道で待ち受けていました。
モン太らしからぬ頭脳プレイでパスが成功。
さらに一休が倒れている事から、体勢もゆっくり立て直し
ランアフターキャッチで前進を始めました。

そのまま前進を続けていくモン太に、
神龍寺のセーフティが迫ってきます。
しかしここでセナ君がブロックにやってきました。
セナ君のブロックによりモン太は独走、
そのままエンドゾーンに向けて走り続けます。
しかし懸命に走るモン太の目前に阿含が出現……
ヒル魔さんの策を読み、この時を狙っていました。


このようなビッグプレイ時には、10ヤードなんて
あっという間に進めますが、通常のプレイでは
3プレイかけて10ヤードも進めない事が良くあります。
ですからこのようなビッグプレイ時には、
一気に大きな前進を目指してしまうのは当然です。

しかしこのプレイ、モン太にも隙が有りました。
一休、そしてセーフティの芽力君をかわして、
追いすがる敵選手を気にしなくなってしまったのです。
それでもまだ時間が残っている状況だったので、
こういう状況ではサイドライン際を走って、
フィールド外にすぐ出られるようにしておくべきでした。
しかし、このプレイでは相手選手はもう残っているとは思わず、
そのまま直進してしまうのも理解できます。
NFLの選手の中にも、前へ進む事を優先してしまい、
フィールド外に出る事を忘れてしまう選手がいますから。

それに神龍寺相手にあと1~2プレイで
タッチダウンを奪えるプレイが出来るかと言うと……
プリベントディフェンスの項でも書きましたが、
エンドゾーンが近づくにつれて使えるフィールドが狭くなり、
人口密度が上がってランもパスも決まりにくくなります。
結果的に、このプレイよりもさらに難易度が上がる事となるので、
このプレイで無理をするのも理解できます。
(プリベントディフェンスについては
 146th187th193rd downを参照)

それでも……望みを繋ぐべく、ここはタッチダウンではなく
フィールド外に出て時計を止めてほしかった。
しかし18点差ではなく21点差にされてしまっていたが故に、
タッチダウンが必要となってしまった泥門。
もしFGの3点で追いつく状況であれば、
モン太はある程度進んだところでフィールド外に出て時計を止め、
とりあえずFGで同点に追いついて、
厳しいながらも延長に賭けるという選択肢も選べました。
しかし、あそこでの3点の失点が……
泥門にとっては重い枷となりました。

阿含のタックルでモン太はインバウンズ(フィールド内)で
倒されてしまい、時計が動き続ける事になります。
スパイクで時計を止めようにも、
39ヤードものロングゲインとなったプレイでしたから、
セット位置までの距離が遠すぎました。
みんなは走ってセット位置に向かいましたが、
そのままセットできずに時計は0になり、
試合終了を告げるブザーが無情にも鳴り響きます。
28-35のまま試合終了……奇手・奇策を駆使し懸命に追いすがった
泥門ですが、あと一歩、いや半歩、届きませんでした。
この敗戦でヒル魔達3人組の夢が潰える事に……
ヒル魔さんにクリスマスボウルへ行ってほしかったな。
 
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